ハイチ こんにちは! 5章 「解けなさそうな問題」の終わり
ハイチ こんにちは!
著者 イ·ハンソル
初版2023年8月17日3刷2023年12月20日
夢も生活の場も失ったハイチの人々に愛と希望を植え付けたイ·ハンソルの物語
ハイチへ行くイ·ハンソル宣教師夫婦
ハイチの人たちのせいで
2回も追い出されたら悲しい気持ちになった。「いつまでこうやって持ちこたえられるかな?」漠然とした。ふとパク・オクス牧師が思い浮かんだ。神学校で授業を受ける時、牧師はいつも「難しさは神様の祝福です。苦難と試練を通して、神様は私たちに信仰を教えてくれます。とおっしゃった。私は現実的な問題の前でどうすればいいか牧師に聞きたかった。何の道も見えない、私が到底解けない問題だった。牧師に連絡して恥ずかしい私の気持ちを告白した。
「牧師様、私はハイチに宣教師として来ましたが、日曜日にご飯だけ食べに来る人たちが嬉しくありません。時にはあの人たちが憎いです。牧師様、私が宣教師と言えるでしょうか?宣教師ならハイチの人たちを愛して面倒見てあげられるはずなのに、私はそうできないです、とても恥ずかしい気持ちになります。そして、こうなるとみんな餓死しそうで怖いです。」
恥ずかしかったけど、子供が父親に文句を言うように牧師様に私の心をそそぎ出した。牧師様が口を開いた。
「私が働き始めた時、助けてくれる人が誰もいなかったし、訪ねてくる人もいなかった。その時は1日か2日飢えるのは大半だったし、一週間ずつ飢えたりもした。そうして一度ずつ食料ができる時があったんだけど、珍しくそういう時はお客さんがやってくるんだよ。久しぶりに人が訪ねてきて福音を伝えると、1時間2時間続いてご飯の時間を優に超えた。そしたら久しぶりに食べる、数少ない食料をお客さんと分けて食べなきゃいけなかったんだ」
私が経験している困難を牧師様はずっと前にすでに会っていたのだ。牧師の話が共感してもっと耳を傾けた。
「ところが、このようなことが何度か繰り返されて、私が一つ発見したことがあった。珍しいことに、お客さんが来る日に食料ができるんだね。あ、この食料が私のためじゃなくて、あの人たちに食べさせるって神様がくれるのね。その気持ちになると、お客さんと一緒に食べ物を食べるのが全然惜しくなかった。むしろお腹が空いたら「今日はお客さんが来ないの?」待つことになったよ。神様があなたたちに糧をくれるのは、あなたたちのせいじゃなくて、ハイチの人たちに食べさせるためにあげるのよ。君たちは餓死してないじゃない。その方たちはどれだけたくさん飢えていたんだろう?教会に来てご飯食べろって言って、ご飯だけ食べさせないで、主の愛を食べさせて。その方たちにあげるのを惜しむな。神様がその方たちのために、必ずあなたたちを食べさせるよ。」
私はびっくりした。一度もそんなこと考えたことがなかった。ああ、ハイチの人たちのせいで神様が私に全てをくれたのだったなんて・・・私が頑張れるし、金銭や糧を得ることができたのは、すべてハイチの人たちのおかげだった。その日、私は考えが完全に変わった。「神様がハイチの人たちのために私たちに全てをくれたら、もっと多くの人が来たらもっと豊かにしてくれるんだね」神様は暗雲がいっぱいの私の心に一筋の光のような新しい心を入れてくれた。
その道で行くように教会にお知らせをした。
「もう誰が来ても惜しまず、すべての人にご飯を配ってあげなさい。ハイチの人たちにご飯ではなく神様の心を食べるようにしましょう!彼らを愛し、助けてあげたいのが神様の心です!」教会の台所の仕事を引き受ける姉妹がびっくりして私を止めた。
宣教師!ありがとうございます。そうすれば 倉庫が 残らないでしょう。私たちはすぐに来週食べ物もないんですよ!今はもっと節約しても足りないんだけど、誰が来ても惜しまないでご飯を配ってあげるって?じゃあ、私たちはすぐボロボロになりますよ!」
不思議なのは、私の気持ちが変わると全てが違って見えた。「神様があの人たちのために私たちを助けてくれるなら、むしろもっと多くの人たちが訪ねてきてご飯を食べるなら、神様が彼らのせいで、私たちを助けるしかないんじゃないか?」私は助けてくれる神様に全てをかけた。
数日で倉庫は結局底がついた。もう食べ物がなかった。
問題を解決できる道もなかった。その時、もう一度food for the por会社に訪ねてみたい気持ちが起きた。すでに2回も叱られて追い出されたけど、変にそこにまた訪ねてみたい心が起きた。嘘だ、断りをもう一度やられたらどうする?もう一度無視されたらどうする?断られる気がしても、訪ねて行けない理由もなかった。
兄弟たちと久しぶりにFood for the poorを訪ねて行った。そこに到着したけど、足取りが簡単に移れなかった。でも、言葉でももう一度渡す要量で、オフィスのドアを静かに開けて入って、待合室の片側に座った。一緒に行った兄弟たちと無言で待っていると、ちょうど代表事務所のドアが開いた。思わず緊張したままドアの方を眺めていると、ちょうど出ようとしていた代表が座っていた私を見つけた。
「ああ、宣教師様いらっしゃいましたね!なんでそこで待ってるんですか?私の事務所に入ってください!」
代表は明るい笑顔で激しく私を歓迎して自分の事務所に導いた。呆然とした。この前までは、あんなに冷淡だった代表が全く違う人になって私を温かく迎えた。私たちが部屋に座ると、代表は職員を呼んで車を出すように言った。それから職員が車を準備しに行く前に、事務所の片側にあった冊子を広げた。
「宣教師!ありがとうございます。ここの冊子にあるものが私たちが持っている物品リストです。どれがどれだけ必要かおっしゃっていただければ、準備して支援いたします。」
急にあまりにも変わった態度に私が信じられなかった。「いや、どうして人がこんなに変わるんだろう?」
「代表、前回はきっぱり断ったのに、今日はどうして急に全ての物を全部くださるようにおっしゃるんですか?」
その理由があまりにも気になった。そして代表の話を聞いて、神様が働いたことを強く感じることができた。
神様が準備した
うちの教会はメイン道路から1ブロック離れた2番目の道路に位置していた。メイン道路はテルマ市内で結構広い道路なので、ほとんどの車がその道路を利用する。ある時、市役所で道路工事をすると言って、メイン道路の通行を数ヶ月間制限した。そのため、その道路を利用していた車が1ブロック奥にある私たちの教会の前の道路を利用した。
Food for the poorの代表も工事期間中ずっとうちの教会の前の道路を利用して出勤した。
当時、うちの教会には20人の現地人と海外でボランティアに来た10人の外国人学生まで30人を超える人たちが過ごしていた。
私たちは毎日夜明けに礼拝をして聖書を読む時間を持った後、朝食を食べるまで掃除をした。居住する人があまりにも多いからハイチの生徒たちは教会を掃除し、外国から来た生徒たちは教会の前の道路を掃除した。奉仕団の生徒たちは毎朝ほうきを持って道路に出て、昨夜出たゴミと落ちた落葉を掃除して、道路をきれいにした。
ある日、Food for the Poorの代表が出勤時間に私たちの教会の前を通り過ぎて、多くの外国人が道路を掃除する姿を見て驚いた。いや、ハイチの人たちも道路の掃除をしないのに、外国人が我が国の道路を掃除するんだ!最初は不思議に思ったけど、何ヶ月も毎日掃除する姿を見て「一体そこがどんなところだっけ?と思い気になった。そしてある日、思わず看板を見て、神が追い出した宣教師が牧会する教会だという事実を知った。あの人たちが本当にハイチのために働いてるのに、私がひどかったんだね。」と言い、すまなかったって言う。「私も神様を信じる人として、本気でハイチのために純粋に働く人たちを、私がとても冷たくして送り返したんだ。」車の中でたくさんの考えが交差したという。
「私が支援する団体の代表としているので、ハイチで外国人たちが何日も、長くは数週間ずつ奉仕するのは見ましたが、何ヶ月も1日も欠かさず掃除する姿は初めて見ました。」
代表はその日の朝会社に着いて神様に祈ったという。
「神様、私は今日本当に恥ずかしいです。ハイチのために心を尽くして働く宣教師を私が追い出しました。ハイチにそういう方が多くてこそ、我が国の人たちも変わるはずなのに、私が見る目がなかったです。それに、私がその宣教師を叱って追い出したので、手伝ってあげたいけど、恥ずかしくてまた呼べる面目がありませんでした。もし、その教会を支援するのが神様の御心なら、その宣教師をここにまた来させてください。私が2回も恥をかかせながら追い出したので、また来るのは簡単ではないでしょうが、もしまた来たら神様が遣わされたと思って、その時はすべてを手伝います。」
ところが、祈って数日後に私が待合室に座っているのを見ては走るように嬉しかったのです。「ああ、神様があの方をここに送ったんだね!あの方を助けるのが神様の意志なんだ!」代表は私にすまなかったとずっと謝って、自分が助けられることは何でも助けたいと言った。私は知らなかったけど、神様がすでに働いたことをはっきり見ることができて心が熱かった。
大きく広げられた冊子には、米、豆、トウモロコシ、各種缶詰、さらには事務用品まで、本当にたくさんの品物が並べられていた。
「私たちは食べ物が必要です。米や 大豆、 トウモロコシなどを 支援して いただければ 嬉しいです。できれば毎月支援してもらいたいです」
代表はその場で書類を作ってサインをした。そして私たちが必要なものを送ってくれた。ありがたいことに、支援はその日一度だけではなく、2ヶ月ごとに今まで続いている。十分な量の食料品を送ってくれて、私たちはその日から食べる心配はしなくてもよかった。量が多くて、新しく開拓した地元の教会にまで送れるから、むしろ他の教会の支援までできるようになった。ある時は机と黒板を支援してくれて、首都教会でハイチの学生を対象とする教育に必要な物品も得るようになった。本当に不思議だった。
私は倉庫の底が切れて漠然としていたあの日を思い出してみた。もし私が倉庫を開放していなかったら、またFood for the poorに訪ねに行くことがあっただろうか?そこに行かなかったら、もしかしたら今も残った食糧を計算して大事にしながら苦労しているかもしれない」だけど崖にぶつかったようだったあの日、神様は私たちをもっと美しい道に導いた。パク牧師が伝えてくれた神様の心が恐れる私の中に望みを吹き込んで、神様はその前から私たちを助ける準備を全部しておいた。
私が米と豆がいっぱい載った車を運転して教会に来ると、台所の仕事も引き受ける姉妹は走るように喜んだ。教会の家族たちは米を運びながら、神様が私たちを食べさせるのを鮮明に見ることができた。その日からもっと多くの人たちと一緒にご飯を食べて、彼らに福音を伝える道が開かれた。行き止まりで助けてくれた神様の手は、教会の聖徒たちにも大きな力をもたらしてくれた。「神様が私たちの教会を助けてくれるんだ!」それより大きな望みと力はなかった。神様が私たちを助けてくれるのに、私たちがためらうべきことがなかった。私たちはその日から車に米を載せて地方を歩き回って集会をして、人々が食べるご飯を用意した。それは単に米ではなく、神の心だった。ハイチの人々を助けることを願って守ってくださる神様の心が米を通して彼らに渡されたものだ。
後で、私とFood for the poorに訪ねて行った兄弟が私に言った。
「宣教師様、Food for the poorに訪ねて2回も叱られて追い出されましたが、私なら絶対に二度と行けなかったはずです。一体どうやってそこに行くことを考えましたか?私がその日宣教師様の隣に座っていて、どれだけハラハラしたか知っていますか?また追い出されると思っていました。」
私は絶対にそこにまた行ける人でもないし、また困難を乗り越えられる人でもない。ところが、私のような人がハイチに福音を伝えられるように、神様が私の心を作ってくれて、私の道を導いて行くのを感じるたびに、私は言えない感激を感じた。神様が私たちを助けてくれるということ、なんて素敵で美しいことか!
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