ハイチ こんにちは! 5章 「解けなさそうな問題」

ハイチ こんにちは!
著者 イ·ハンソル 
初版2023年8月17日3刷2023年12月20日
夢も生活の場も失ったハイチの人々に愛と希望を植え付けたイ·ハンソルの物語

イ·ハンソル宣教師夫婦

ハイチへ行くイ·ハンソル宣教師夫婦

一番大きい宿題

食べることを解決することは一番大きな宿題の一つだった。ハイチの主食は米とトウモロコシだ。ハイチでは韓国みたいに3食を食べるのではなく、1日に2食だけ食べる人が多い。朝はほとんどパン1切れで簡単に解決して、早い夜にご飯やトウモロコシの食事をする。二食を食べるけど、それさえも足りなくてお腹を空かす人が多い。我が家には人々が30人近く一緒に暮らした。人が多いから毎食の食事を準備するのも難しい時が多かった。幸い地元の人たちがよく食べる、豆ご飯に塩だけ打って食べる食べ物があって、難しい時はみんなで豆ご飯だけ食べて生活したりした。電気がないのを見たら食べ物を保存できなくて、おかずは考えられなかったけど、豆ご飯はそれなりにお腹を満たしてくれた。食べさせるべき家族が多いから、肉は見物もできない時が多かった。

ある日礼拝堂の中に小さなスズメが一匹飛んできた。スズメが暑さ負けしたのか、前をちゃんと見ずに礼拝堂の柱にぶつかって床に落ちた。ざわめくめくうるさい音が聞こえて礼拝堂に降りてみたら生徒たちが喧嘩していた。

「俺が捕まえたから俺のものだ!」

「それでも一緒に食べなきゃ!」

「この小さいのをどうやって分けて食べるの?私が食べるよ!」

スズメ一匹が小さな騒動を起こした。私たちもお腹が空いた時節だから、してあげられるものがなくて傷ついたけど、仲裁をしなければならなかった。私はスズメを置いて叫んでいる子供たちの間を割って入った。

「おい、神様が私たちがお腹が空いているのを知ってお肉をくれたのね。」

私が割り込むと生徒たちが静かになった。私はスズメを見ながら言葉を続けた。

「これ小さすぎて焼いて食べれば味だけ感じられるけど、物足りないけど?そうじゃなくて、汁を一釜煮て肉のスープを淹れたら、私たちがみんなでお腹いっぱいに肉の味を感じられるんじゃないかな?」

手のひらだけのスズメを食べてみても、どれだけお腹いっぱいになるんだろう?

「宣教師様!ありがとうございます。そしたら私たちがみんなでお腹いっぱいに肉を味わうことができますね!神様が私たちが肉を食べられないことを知っていて、スズメをくださったみたいですね!」

子供たちは思いもよらない方法だと言ってうれしがった。

すぐに台所では水をいっぱい入れた釜を炭に乗せてお湯を沸かし始めた。スズメは毛を剥ぐとずっと小さくなった。教会でキッチンを担当している姉妹は釜に各種の野菜を入れた。そして、子供たちがスズメのせいで喧嘩しないように、台所のフェンスの上にスズメを乗せて、鼻歌を歌いながらスープの肝臓を見始めた。子供たちは久しぶりに味わう焼肉に期待をいっぱいした。

ところが、何と台所から悲鳴が聞こえた。

「あっ!!」

びっくりして台所に走って行くと、姉妹が途方にくれたた顔でフェンスを指差した。そこにはお腹が空いた猫がスズメを噛んで、逃げ出していた。虚脱したけどどうしよう。当時、私たちはそうやってベルトを絞めながら暮らしていた。

理解できない数字

もっと困った時は日曜日だった。私たちは主日礼拝を終えたら聖徒たちと一緒にご飯を食べた。何人かの兄弟姉妹が食事の準備を手伝うために少ないけど、金銭を加えたり、家で育てた野菜などを持って来たりしたけど、全聖徒が食べるには量が足りなかった。そうしたら食べるのが手抜きにならざるを得なかった。もっと困ったのは、礼拝に出席する人は50人なのに、ご飯を食べる時になると100人近い人が食事をしていた。理解できない数字だった。そうじゃなくても、不手な食事を沢山の人たちと一緒に食べようと思ったら、自然に量が少なくなるしかなかった。

ご飯を食べる人が多くなる理由を調べてみると、ハイチには日曜日にご飯をくれる教会がほとんどなかった。お腹が空いた人がざらだから、人々が私たちの教会の前を通り過ぎて、聖徒たちが並んでご飯を食べる姿を見ては入ってきて一緒に食べたのだ。食べさせてくれる人が誰もいないから、当然食べてもいいと思ってご飯を食べに来る人たちがどんどん増えて、いつしか聖徒の倍にもなる人たちがご飯を食べたのだ。私たちも食べ物が足りないのに、礼拝には参加せずにご飯だけ食べに来る人がどんどん増えた。来るなとも言えないし、来て食べろと言ったら食べ物が足りないって・・。私は彼らの訪問がどんどん負担になり始めた。

私は神学校で「お腹が空いたら福音を伝えて、難しければ福音を伝えなさい」と耳がすり減るように聞いて学んだ。でも、いざ倉庫に米が減るから心配が先立った。現実を無視できなかった。当時、私たちは教会を始めたばかりの段階だったので、教会に出る人たちは結構多くなったけど、聖徒たちが教会をかえりみるのはよく知らなかった。そしてほとんど貧しい人たちが教会の主軸なので、むしろ私たちが彼らを助けなければならないのが実情だった。一日一日ご飯代が支出しすぎて手に負けなかった。

残ったお金はいくらもないし、倉庫はすぐでも底を見せそうだった。

こうするうちに全部引っ掻きそうな不安感が湧き始めた。恥ずかしい思いもした。「せめて礼拝でも参加してご飯を食べればいいが、ご飯の時間だけ来るのはひどいんじゃないの?」ハイチの人たちが憎い気がした。宣教師がそんな心を持ってはいけないことを知っていたが、現実の壁があまりにも大きく感じられた。私が到底解けない問題に出会ったみたいだった。毎日できるだけ大切に、大切に、節約、節約して生活したけど、倉庫がだんだん底がつくのが見えた。何か対策が必要だった。

あなたがこの人を呼びましたか?

兄弟たちと相談してみたら、ハイチに米を後援してくれる民間団体があるって言ってた。代表的に「Food for the poor(フード・フォー・ザ・プア)」団体が一番大きいと言った。私はすぐに支援要請書を作成して、兄弟たちと一緒にその事務所を訪ねて行った。Food for the poorの事務所はすごく大きかった。倉庫には非常に多くの米ととうもろこしがあり、多くの人々がそれをもらうために並んでいた。

中には外国人も何人か見えた。すごい規模を見ると、もしかしたら私たちもチャンスを得られるかもしれないという希望が見えた。毎月米を何カマでも後援してもらえるなら、息がつきそうだった。ぼんやりと倉庫を見つめているんだけど、団体の代表が事務所に私たちを呼んだ。

「ここはなぜ来たのですか?」

「私はハイチに宣教しに来ました。私の家にハイチの人たちがたくさん住んでいて、また私たちは毎週多くのハイチの人たちに昼食を提供しています。支援が必要で要請しに来ました。こちら要請書です。」

代表は私が差し出した書類を読んでみる価値もないみたいに、片方に突っ込んで冷たく話した。

「私たちはハイチの人々を後援する団体です。あなたは外国人なら支援もたくさんもらえるんじゃないですか?あそこのある教会では外国人宣教師が働いていますが、そこでは毎月聖徒たちに米を一俵ずつあげるそうです。あなたがうちの会社を支援してくれないと、何でハイチの人たちが後援する米をくれって言うの?私たちにはあげるものがありません。」

実際に私はいろんな教会に招待されて、言葉を伝えに行ってそんな光景を見たことがあった。数百人が集まる教会だったけど、礼拝が終わった後、人々が教会で配る米を頭にして家に帰った。お互いにもっと受けようと叫んで喧嘩する声も聞こえたけど、数百人に米を援助するのを見ながら舌を放った。問題は、その教会の信徒たちがほとんど宣教師をお金で考えるということだった。彼らは言葉を聞くより米をもらうために教会に来た。実際に宣教師の支援が途絶えると、ほとんどの信徒が教会を去った。

うちの教会の聖徒たちはそうじゃなかった。支援してくれるものがないけど、純粋に言葉を聞きに来る人たちがほとんどだった。日曜日に一緒にご飯を食べるのは、礼拝が終わったら昼休みなのに家に帰って食事を準備する時間がないからだった。私には聖徒たちに米を配るだけのお金もなかったけど、そんな宣教したくもなかった。

「ですが、外国人も見えましたよね?」

私が外国人だから断ると思ってまた聞いた。すると、代表はそれも知らなかったのか、というように肌寒く答えた。

「私たちはカトリックで作った団体です。カトリック教徒は外国人でも現知人でも支援してくれます。あなたはカトリック教徒じゃないでしょ?あなたがああ、無理な人にご飯を配っても、私たちはあなたを支援する理由がありません。ハイチはカトリックが基盤の国です。あなたたちにご飯を配ってあげるからといって、私たちに得になるものは一つもありません。これ以上話してみたら時間の無駄になりそうですね。出てください。」私たちは追い出されたようにそこを出た。

家に帰ってきて、兄弟たちと他の団体も調べてみたけど、そこほど大規模に支援するところはなかった。私は代表をまた説得しようとまた訪ねて行った。兄弟たちと待合室に座っているんだけど、ちょうど通りすがりの代表が私に訊いた。そして以前よりもっと硬い顔で私に近づいてきて、職員たちを呼んだ。

「あなたはこの人を呼んだのですか?

「いいえ。」と彼は言った。

「では、あなたがこの人を呼んだのですか?」

「いいえ。」と彼は言った。

彼は職員たちを呼んで、私の前で一人一人に聞いた。

もちろん、誰も私たちを呼んだ人はいなかった。

「誰も呼んだ人がいないのに、どうしてまた来たんですか?今すぐ出てください」。

代表の声はもっと冷たかった。私はそうやって面打ちを受けながら兄弟たちとまた追い出された。「私、食べようって言うわけでもないし、ハイチの人たちに食べさせようとしてるんだけど、本当にひどいね。だからといって人をこんな風に追い出すのか?」心の中に怒りが爆発したけど、方法がなかった。私たちが難しいかどうか、彼らには関係ないことだからね。

・・・続く

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