ハイチ、こんにちは!2章 新しいスタートラインで

イ·ハンソル著

夢も生活の場も失ったハイチの人々に
愛と希望を植え付けたイ·ハンソルの物語

02  新しいスタートラインで

失望をいっぱい抱いて韓国に帰ってきた。振り返ってみると、一瞬一瞬感謝したこともあったけど、私が根本的に変わったようには見えなかった。私は相変わらず友達と遊ぶのが好きで、お酒とタバコの考えも離れなかった。私と違って、同じ期間に海外ボランティアに行ってきた友達は別人になっていた。外国語も流暢にして、厳しい環境の中で1年を過ごしながら、過去の人生が愚かだったという事実も発見した。もっと信じがたかったのは、友達がグッドニュース神学校に入学して福音伝道者の道を歩むということだった。私も問題が多かったけど、絶対に変わらなさそうだった友達の新しい姿は、私に大きな衝撃で近づいてきた。そしてその衝撃は再び深い絶望感に変わった。

1年ぶりに帰ってきた韓国は不慣れだった。私が海外ボランティアに行ってくると、両親をはじめ、教会の多くの方々が私がどう変わったか期待する顔色だった。私は頭を上げられなかった。「恥ずかしさがいっぱいだった私の生活を知ったら、どれだけがっかりするだろうか?」私のせいで長い間苦労していた両親が感じる喪失感を考えると、心がもっと重かった。私以外の全ての人が変わるみたいで、私だけホールで所定の位置に立っているようだった。友達が変わった姿を見て、その家族たちは感激して笑い声が絶えなかったけど、私は出すものがなかった。私を変化させられるものはもうないと感じた。友達だけを見て生きてきたし、事故を起こしながらも友達と一緒だという事実が心の一方で慰めになったけど、結局私は一人になってしまった。

帰国発表会

友達は私を海外ボランティア団の帰国発表会に招待した。この1年間、海外ボランティアに行ってきた学生たちが何を経験してどう変わったのか紹介する場所だった。連絡を受けた時、私は漫画屋で1年間見れなかった漫画本を見ていた。一緒に海外ボランティアに行ってきたけど、彼らと違う私の姿にただ静かに消えたかった。そこに行ったら海外ボランティアに行ってきたけど、帰国発表会に一緒にいない私を見て、もっと多くの人ががっかりして、その姿を見つめる私はもっとひどい剥奪感に陥りそうだった。

行かないと誓ったけど、心の片側で一体これまで一緒に暮らしていた友達と私のどんなところが違うのか気になった。そしてもう友達とも最後だと思って、友達の変わった姿を私の目に込めて別れるのが最低限の礼儀だと思った。そうやって私は自分の気が向かない

足取りを率いて、少し早く帰国発表会の場所に行った。

友達が発表会の準備で忙しくて、ちゃんと話をする時間もなくて、片方の椅子に一人で座っているんだけど、ちょうどそこを通り過ぎていたパク・オクス牧師が目に入った。1年前牧師さんが私が海外ボランティアに行ったという知らせを聞いて、とても感激したと聞いたから牧師さんに会う自信がなかった。牧師さんが1年間どう過ごしていたかと聞いたら、何も言えなかったからだ。首を反対側に回してとぼけていたのだが、牧師が座っている私を見つけた。そして喜びに満ちた顔で一歩で私に近づいてきて、両手で私の手を掴んだ。

「ハンソル、お疲れ様でしたね?ありがとう。ありがとう・・・」全く予想していなかった牧師の反応に戸惑った。私の状態をことごとく申し上げる必要もなく、挨拶だけして静かに別れた方がいいと思った。

「牧師さんが祈ってくださったおかげで無事に行ってきました。ありがとうございます。」

心にない声だったけど、牧師さんにも私が最後に守れる最善の礼儀だった。

「本当にありがとう!本当にありがとう!お疲れ様だったね?」牧師さんは、私が言った言葉が本気なのか、挨拶の礼で言う声なのかには関心もないようだった。礼儀上言った言葉をそのまま信じてくださる牧師さんの前で私はもっと恥ずかしかった。

「ありがとうございます。牧師さん・・・」

感謝の言葉が流れてきた。私は人を誰かがそんなに喜んでくれて喜んで迎えてくれるのが本当にありがたかった。『私も友達みたいに変わっていたら、堂々と挨拶できたのに、・・・』そうじゃなかった私がすごく恥ずかしかった。それでも相変わらず私の手を握って喜んでいる牧師さんが、もう牧師さんにまた会うことはないけど、私の心を温かくしてくれた。

「海外にも行ってきたので、もう神学校に入学して信仰を学べばいいだろう。」

思いもよらない言葉がまた牧師の口から流れてきた。私が神学校って?私は福音のために生きる気持ちが全くなかったし、だからといって福音を伝える賜物がある人でもなかった。全く予想していなかった話に答えられず、ぐずぐず立っていると、いつの間にか私の周りに近づいてきた友達が「そう、私たち一緒に神学校に行けばいい」。と言いながら私の肩を包んだ。私は牧師に嫌だと申し上げるのが申し訳なくて、うっかり「はい」と答えてしまった。牧師はすごく喜んだし友達も拍手しながら好きだった。

「そうだね、せっかくこうなったのだ、神学校に一度入ってみよう。友達と別れるのが残念だったし・・・私は相変わらず友達が好きだった。友達が新しく出発する姿をそばで見守れるだけでも悪くないね。そして変わった友達と一緒にいると、もしかしたら私も変わるんじゃないかな?」

私はグッドニュース神学校に入学願書を提出した。立派な神学生になりたいというよりは、ただ友達のそばで彼らがどれだけ変わったか見てみたかった。2007年の春が訪れた時、私はどさくさで神学校に入学した。

神学校入学

勝手に暮らしていた私にとって、神学校生活は簡単じゃなかった。一緒に寄宿しながら、毎日夜明けから夜遅くまで聖書を読んで考えて講義を聞いた。やってなかった勉強をしようと思ったら頭が痛かった。決まった時間に沿って規則正しく生きるのも大変だった。一度もそんな風に生きていなかったから、全身が悲鳴をあげているようだった。私と違って、友達は真剣に講義を聞いて、自分たちがその場にいることを感謝した。

私はたった1日も日課についていくのが大変だった。一緒に入学した他の同期生たちは私と全然違った。授業中に同期生たちが発表するのを聞いたり、普段彼らが生活する態度を見ながら、私は何か間違っていると思った。まるでそれぞれ美しい羽を持った鳥の間に挟まっているカラスになった気分だった。福音を伝える賜物はなくても、少なくとも福音を伝えたい気持ちは生まれると思ったけど、そうじゃなかった。同期生たちと付き合えないカラスのような私の姿が現れるかと思って焦った。

しばらくして、神学生たちがみんな無銭伝道旅行に出るって言ってた。神学校の教育課程の中で一番楽しみな時間だった。ポケットにお金一銭もなく、知り合いもいないところに行って一週間伝道しなきゃいけないけど、福音を伝える間、神様が助けてくれることを考えて、全ての生徒たちがワクワクしてウキウキした気持ちで準備した。私もその日を待った。そうだね、今回伝道旅行に行ってきたら、私にもどんな変化が生じるか分からない。

伝道旅行を出発する前日、元気だった足の甲が腫れ始めた。どこかにぶつかったわけでもないのに痛みがひどくて、悪寒と熱が出始めた。病院に行って皮下炎症という診断を受けた。そんな状態では歩けないから、今すぐ手術しなきゃいけないって言ってた。結局、みんな伝道旅行に出る日、私は白い病院服を着て手術室に入った。手術はうまくいったけど、数日間一人で病室に横たわっていて、たくさんの考えが私を苦しめた。パク牧師は私に神学校に入学するように勧めたけど、神様が私が神学校にいることを喜ばないようだった。全ての神学生が伝道旅行に行ったのに、どうして私だけハマったんだろう?神様が私がここにいることを喜ばないんだ、私を。複雑だった。

伝道旅行から帰ってきた神学生たちは、一週間、神様がどうやって食べさせ、寝かせ、福音を伝えさせたのか、包みを解放するみたいに証を吐き出した。もちろん私は全然嬉しくなかった。神様が他の生徒たちは手伝うけど、私は助けないという確信がつくと、神学校にこれ以上いなければならない理由がなかった。出発することに決めて荷物を詰めた。私に合わない服をもう着たくなかった。そう、私が何の福音伝道者なの?何の牧師で宣教師なの?とんでもない。ソン・チュンイは松葉を食べて生きなきゃいけないんだよ。荷物を持って出ようと思うんだけど、友達が私を捕まえた。

ハンソル、お前また昔のように生きるつもりか?お前も知ってるだろ、俺たちがどれだけ情けなく暮らしたのか。私はあなたと一緒に神学校に入ることになって本当に感謝した。でも、君がこうやって出て行くって言うから、すごく悲しいよ」友達は私の前で初めて涙を流した。しかし、私の心はしっかりしていた。友達しか知らずに暮らしていたけど、友達が私の信仰を代わりにしてくれるわけにはいかなかった。

「ごめん、君が元気にしている姿を見たからいいよ。私はどうやら違うと思う。元気でね」

捕まえようとしている友達を後にして神学校を出た。心が複雑だった。

「どうせ私はダメだ。海外ボランティアも行ってみたし、神学校にも入学したじゃん。それでも変わらなければ、それはダメだよ。いっそ元通りに帰った方がいいよ。」落ち込む自分を慰めながら道を出た。風がまだ冷たかった。

家は教会で、父は牧師だから、どこに行けばいいのか分からなかった。

ポケットには一文もなかった。私が神学校から出たって聞いた父ががっかりするかと思って、私は先に父に長文のメールを送った。神学校まで入ったけど、信仰には興味がないし、相変わらず変わらない私の姿をもう一度言うのは簡単じゃなかったけど、お父さんに話を申し上げたかった。

『お父さん、私は神学生の中で一番ダメな人です。私には福音伝道者の賜物が全くありません。この道が私に合わないみたいです。聖書を読んでもよく理解できません。私は父のような立派な牧師にはなれません。すみません。』ずいぶん後、父は私に長文の答えを送った。

『ソルよ、父は伝道者たちの中で一番ダメな人だよ。そうだけど、世界で一番貴重で貴重な仕事をするんだけど、ちょっとできなかったから、どうなの?誰も分かってくれなくても、私たちは世界で一番光栄で幸運なことをするんだよ。こんな貴重な仕事をするんだけど、ちょっとダメだったらどう、足りなかったらどう?ただそこで一番ダメな神学生でいちゃいけないの?世の中で一番価値のある仕事をする一番ダメな父と息子、私は大丈夫だと思うけど?』

完璧に見えた父は自身を一番ダメな人だと下げた。私の目には父は最高の牧師だった。多くの人が父に福音を聞いて救われ、父はどこへ行っても福音を伝えた。そんな父は私にとって巨大な山だった。まったく父親みたいな人生を生きる自信がなかった。ところで、父は自身が一番ダメな人だと言ってた。それは社交辞令じゃなかった。福音を伝えれば伝えるほど、お父さんは物足りなさを感じた。そんなに足りないあなたを使ってくださる神様にいつも感謝しておられた。だから、たとえ息子が神学生の中で最下位であっても、それが神様が働くのには全く問題にならないと信じていた。

父のメールをもらって、私はしばらく考えに浸った。たとえ私が牧会の道を歩いても、誰よりもお粗末な人になるのは自明だった。私は他の人と自分を比べて、ダメな姿を見せないように頑張ったけど、ただ一番ダメな人であることを認めたら、心が少し軽くなった。

「そうだね、一番ダメな人で一度生きてみよう。実は私がカラスだと告白しよう。神学校で私に出て行けと言わないなら、もう一度始めてみよう。」私は歩みを再び神学校にもどした。

・・・2章 続く

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